「友達にそこまで内面をさらけ出せたこと、あったかな?」と、
思春期の補完をさせてくれるキャラクターたちはどれも魅力的です。
梓川咲太
「空気を読まないといけないこと」を面倒だと感じている主人公。
いわゆる「何を考えているかわからない」タイプに見えるが、実は周囲からの評価や自分の印象を正確に理解している。
読めているのに、読めていないふりをする天邪鬼な一面を持つ。
他人のことには敏感なのに、自分自身には無頓着。
相手に都合のいい言葉ではなく、本音と向き合うための正直な対話を大切にする、独特な優しさを持っている。
最大の魅力は、どんな状況も「まずは受け止めて、砕いていく」という精神力。
「ありがとう」「ごめんなさい」「助けて」が素直に言える彼の人間性は、知れば知るほど好きになるはず。
桜島麻衣
子役時代から芸能界で活躍する、人気俳優。
世間からは「美人」「かっこいい」「優しい」と称されるが、咲太から見れば「わがままで女王様、気分屋で意外とウブ」。
つまり、咲太の前では感情を素直に出せる存在ということだ。
本編で最初に思春期症候群を発症するものの、他の物語ではあまり関わってこない。
しかし、どんな状況でも変わらず咲太を信じ、受け入れてくれる存在として重要な役割を果たしている。
気丈な彼女が怒りに似た感情をあらわにしたのは、物語後半に咲太へちょっかいを出した年下の少女に対してのみ。
その時の彼女の姿は、それまで見せたことのない一人の女性としての強さに満ちていて、鳥肌が立つほど印象的だった。
梓川花楓(かえで)
咲太の妹で、思春期症候群の影響により解離性障害を抱えている。
「話し方」「箸の持ち方」「食事の順番」「パジャマのボタンの留め方」などからも、別人格であることが明確。
二人の人格は、互いの存在を認識し、尊重し合っている。
しかし、尊重の結果として苦しむこともあるのだが、ここではあえて詳細は避けます(※ネタバレ回避のため)。
彼女の物語は、「おるすばん妹」「お出かけシスター」で描かれています。
特に劇場版『お出かけシスター』のエンディングでは、久保ユリカさんが二人のかえでを演じ分けた「神がかった演技」が心を打ちます。
舞台挨拶なども観られる機会があれば、彼女への思い入れの深さも感じられるはずです。
関係図や相互作用の面白さ
思春期症候群が物語の中でキャラクター同士の関係性を複雑にしています。
・「恋人のフリのはずが…」
・「会うことのないはずの初恋の相手が…」
・「昨日までいたはずの妹が…」
・「どちらも大事な友達だから…」
出会い、関わってしまったからこそ、「何とかしたい」と思う。
ヒロインたちの抱える問題に向き合うことで、咲太自身も少しずつ成長していく姿がまぶしいのです。
まとめ
人生の分岐点に関わり、影響を受けた相手との絆は、自然と深くなるもの。
物語のように劇的ではなくても、あなたの中にも
「あの時〇〇しておけば…」という後悔が残っているなら、それは思春期症候群の入口だったのかもしれません。
あるいは、あなたの覚えていない優しさが、誰かを救っていたこともあるのかもしれませんね。
次回は本シリーズの締めくくりとして、アニメ改変について触れていきます(※ネタバレ注意)。
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